医療法人尚人会 共同生活援助グループホーム はなのせ
元々、村役場があった土地に施設を計画するに当たり、既存の石柱や石塀は補強を施して利用、また敷地中央に古くから佇む一ツ葉(イヌマキ)をシンボルとして取り込むなど、土地の歴史性を極力保存することに留意した計画とした。同時に将来的な施設の拡張性を保ちながら、隣接病院との連絡もしやすい動線を組み込んだ配置計画とした。建物においては、入所される方の動線を一定条件で分離しながら可変性も保ち、プライバシーを確保すると同時に施設側は管理がしやすい計画になるように、という施主からの条件を満たすように注意し設計を行った。
デザインについては「施設や住宅らしくない建物を」という要望もあり、エントランスは訪問者を迎え入れるために開いた形状としつつ、木肌の雰囲気を持った柔らかで鷹揚な空間とした。エントランス以外の部分は、エントランスとは異なる質感と色の無機質的な素材とすることで、外観からは内包される生活空間を連想されないように配慮した、二面性を持った外観が特徴である。
その一方で施設エントランスから外部を望むと、目の前には新田川の水の流れとその向こうに広がる田園風景があり、歩を進めると右手には金峰山が現れるという恵まれた周辺環境も見どころとなっている。